オナモミ 【耳、巻耳 蒼耳子 蒼耳草 雄菜揉み】 キク科オナモミ属 学名:Xanthium strumarium

 日本全土に分布し、道端や空き地に生え、草丈は50〜100cmになる1年草。
果実に多数の棘(とげ)があるのでよく知られている。また同属のオオオナモミやイガオナモミなども果実が同じような形をしており、一般に混同されている。
 葉は広くて大きく、丸っぽい三角形に近く、周囲は不揃いなギザギザ(鋸歯)がある。茎はやや茶色みをおび、堅い。全体にざらざらしている。葉腋に花序を出し、果苞をつくる。
 夏になると花を咲かせる。雌雄異花で、雄花は枝の先の方につき、白みをおびたふさふさを束ねたような感じ。雌花は緑色の塊のようなものの先端にわずかに顔を出す。子どもの頃に友の服にこのいがいがの果苞を投げつけ、くっつけて遊んだ思い出を持つ人は多い
 見かけ上の果実は楕円形で、たくさんの棘をもっている。その姿は、ちょうど魚類のハリセンボンをふぐ提灯にしたものとよく似ている。先端部には特に太い棘が2本ある。もともと、この2本の棘の間に雌花があったものである。
 帰化種のオオオナモミやイガオナモミと同じ仲間だが、日本で見られる唯一の在来種。とはいっても古い時代に大陸から入って来たと考えられている、いわゆる史前帰化植物。
 近頃は、帰化種が幅を利かせ、オナモミはめったに見かけることがなくなった。


2008/9/19 茨城県大子町袋田の滝 撮影:黒田豊


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